ココロサードプレイス

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紫原明子『家族無計画』

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cakesでの連載も読んでいましたが、こちらには書き下ろしもあり。何度読んでも面白くて、一気に読んでしまいました。

この本では、紫原明子さんが、結婚~出産~子育て~離婚~現在の生活などを、かなり詳細に・明るく・面白く・前向きに綴っています。ここに出てくる元旦那様とは、家入一真さんのことです。

中には物凄く辛い体験も含まれていると思うのですが、全部同じトーンで描かれていて、冷静に自分を見つめている描写が面白くて、本当に正直で優しい人だなあと思います。それは家入さんにも思いますね。私は二人とも大好きなんです。

家入さんの『我が逃走』を以前読んでいたので、あっほんとうに各々の視点からひとつの夫婦の生活が綴られているな~って思って読みまして、そしてこの、それぞれに魅力的なお二人は、やっぱり夫婦であって然るべきという相性をすごく感じるわけです。それが最終的に上手くいかないことも、切ないとかそういう感傷的な気持ちには全然ならなくて、人ってこういうものだよなって、そこにある悲しさも理不尽さも怒りも意味わかんないものも、ああすべてこうやって鎮座してるもんだよねって思っちゃう説得力がものすごい。

自分がここから受け取ったのは、安心感でした。自分もこんな視点で過去を振り返ってみようと思いました。


紫原さん、実は同い年なんです。そして私は結婚したこともなく、こどももいません。そしてもうそんな予定も永久に無いかなという気がしているのですが、この本を読むと、子どもっていいなあって思います。子どものいる人の日記を見たり・話をきいたり・実際に会ったりして、かわいいな~って思う機会は勿論たくさんあるのですが、これはぐっとくるなーって思ったのが、以下の部分。


紫原さんがふと言った「今日クッキーを焼いたんだ」という取るに足らない(しょっちゅう焼いているから珍しいことではない)一言に対して、子供が「上手に焼けた?」「あげた人は喜んでくれた?」と聞き返してくれたとき、自分が子供の頃お母さんにその日あったことを延々と聞いてもらっていたことを思い出して、泣きそうになったというエピソード。

私ひとりが枯れない泉を持っていなければならない、自分ひとりが延々と子供たちに愛を、生きる気力を供給し続けなければならないなんて。何て思い上がっていたのだろう。シミュレーションゲームの外、目の前にいる、私の生身の子供たちは、私が彼らの母親であるというだけの理由で、枯れかけた泉に無条件に水を注ぎ、優しく潤してくれるのである。


そっかあ。こどもっていいなあ。そんなこどもに自分はなれていたかな。自分が同じ体験を、というのはたぶん望めない気がするが、すくなくとも「いてよかった」と思われるこどもになることはできるかな。


他にも全く違うジャンルの話も出てきます。ふとした時に、何度も読み返したい。