川上未映子『ヘヴン』を読んで。
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友達に勧められて読みました。
友達とはまた全然違う感想なんだけれど、この小説から受けた衝撃の大きさという観点では同じくらいかもしれない。
私は途中まで読んで、一旦出かけなきゃいけなかったので、読むのを止めたのですが、歩き始めた瞬間になんだか物凄く勇気が湧いてきて「今なら何でもできる!」という気持ちになったんです。
日常生活で何度でも思うだろう「こんなことを言ったら・したら私は変に思われるんじゃないか?」っていうたぐいの思いなんか二度と持たずに生きていけるんじゃないか、誰のことも何も気にせずに生きていけるぞっていう物凄く強い気持ちが湧いてきて、 その高揚感が凄すぎて「ああ、たぶんこれは一時的なものなんだろうな」とも、どこかで冷静に思えるんだけれど
今年いろんな本を読んで「いい本だな、こういうふうに生きたいな♪」って思うことはたくさんあったんだけれど、もう、そんなもんじゃない感情。「私は無敵である!何一つ怖くない!」っていう強い思い。 なんでこんなふうに思うんだろうっていうのを分析しなくては!と思いました。自分でもこの本から受け取る気持ちがどうやってそんなふうに変換されるのか?と思ったから。
なぜかというと、これはいじめの話なので。
主人公ともう一人は、物凄く酷いいじめに遭っているんだけれど、そのもう一人コジマの「わたしたちには正しいことがわかっている」という台詞に物凄く救われたし共感しているんだなあと思った。
私は
「私が120%悪だろうって思うことを実際に行動している人間と解り合えない苦」
よりも
「それを正すことができないとしても自分の信念は間違いないと思える自分がいる」
ことが
より重要で、尊く、生きるために必要であると思っているんだなあ。
私は「解り合う」を諦めたり放棄したりするのが苦じゃないんだなあと思いました。というか、進んで諦めたり放棄したりしたいんだと思いました。でも犯罪者心理には凄く興味はあるんだけどなあ。
なんでこんなに残酷ないじめができるのかという憤りよりも、理解できない人間がいたとしても、自分がどうあるべきかを考えたい、私は負けない、外から見て負け側だとしても、心は負けてないと思いたい、そういう強い気持ちを持てる本でした。